リスクが時間分散される理屈

「長期投資によりリスクが低減する」という理屈です。

リスクは投資期間の平方根倍

概要

株式投資における特定期間のリターンと、他の期間のリターンとが無相関である場合(独立している場合)、リスクの標準偏差は時間の平方根倍でしか増大しない。

→長期投資でリスクの低減効果はある。

リスクの考え方、分散・標準偏差

証券のリターンと期待リターンとの差(偏差)の2乗に確率を掛けて期待値を計算すると分散が求められます。

分散の平方根は標準偏差となり、リスクの尺度とすることがあります。

年単位で考えると、リターンに時系列相関がない(分散が独立している)場合には、以下のようにt年の分散(Vt)は一年の分散(V1)のt倍と表せます。

Vt = t × V1

ここで、両辺の平方根をとると、

√Vt = √t × √V1 =

σt = √t × σ1

仮にt = 16年の投資期間を取ると、√16 = 4なので、一年の分散の4倍が16年後のリスクになります。

おそらくはこれを元にして、見かけ上「長期投資でリスクは低減しない」と述べる方もいると思いますが、リターンとの比較においてだと話が違います。

少し具体例

仮に先進国株の期待リターンが年率5%、リスクが年率18%だとします。

16年間での期待リターンは複利だと118.2875%になる一方で、リスクは72%になります。

1年間ではリスク対リターンが5 : 18だったのが、16年間では118.2875 : 72となりました。

株式投資における年率のリターンは、内部成長率や配当等によって時間に正比例または複利の指数的な伸びで増加しますが、時間的にランダムであるリスクは時間の平方根倍でしか増加しません。

この結果、投資期間16年のリターンの年平均標準偏差を投資期間1年の標準偏差と比較すると、

(18×√16)÷16=18÷√16=4.5%になります。

これが長期投資におけるリスク低減の話です。

まとめ

株式投資において長期投資が有利になるという理由は、リスクとリターンの増加の違いによるものが大きいということです。

また、なぜリスクが低減するのかというもっと馴染みやすい考え方に分散投資があります。

複数銘柄のうち、銘柄相互間の相関度が低いとポートフォリオの標準偏差が低下するため、一般的には複数銘柄に対して投資を行います。

これと同じように、長期投資ではリターンが時間的に独立していることを生かした時間分散という概念が用いられるわけです。