特許事務所の料金設定

2018年10月18日

料金は様々

顧客は特許事務所に対して出願等を依頼するとき、料金が気になる点の一つです。

ホームページ等には特に料金表を明示しなくてもいいことになっているので、事務所によって記載の有無が異なります。

「料金はお気軽にお問い合わせください」等の記載がある事務所さんもあります。

もちろん特許出願でも相談内容やボリュームによって料金が異なるため事務所側からすると仕方ない面がありますが、顧客側から見ると「そもそも問い合わせが面倒」と感じる可能性があります。

 

また、低価格を売りにしている事務所さんも見受けられます。

世相とは大事なもので、「価格破壊」のような文字が躍る時代には価格差によるマーケティングが功を奏した時でした。

今から事務所を構えて価格競争をするには時代遅れ感があり、共倒れの危険があります。

 

顧客が感じる価値(Value)

さて、弁理士は法律で代理行為が行えることが定められています。

弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標・・・に関する特許庁における手続・・・についての代理・・・を行うことを業とする。

弁理士法第4条

 

言い方は悪いですが、とても面倒な手続の代理を行うという点では顧客はバリューを感じる余地があります。

これは顧客が特許出願をしたい!とすることが前提です。

 

しかし前提が崩れると、価値(Value)と価格(Price)のバランスが悪く、値下げ交渉に走るのだと思います。

 

特に大企業では研究者/技術者に出願ノルマを課しているところもありますから、出願費用をコストと捉えるのも自然です。

そして大口顧客を手放すまいと値下げ交渉に応じることはどの業界でもあります。

値下げについては一般的な商品(特に製造業や卸売業)であればボリュームディスカウントが効果的ですが、サービス業である弁理士/特許事務所に関してはボリュームディスカウントが困難ですから、安易に値下げに応じると尾を引きます。

 

しかし、物価が上昇しているのにサービス料金を値上げすると嫌な顔をされる日本だと、サービス料金の値下げはしない方がいいのでは?と経営素人ながら思います。

「値下げをしない」ということはつまり、顧客は何に対してお金を払うかということに繋がります。

 

何に対して支払うか

机上での価格設定は、顧客が支払の痛みを感じることなくいかに支払ってもらうかに尽きます。

(その概念が頭に入っているかどうかは別にして)それが難しいというのが経営陣の本音でしょう。

 

支払の痛みについては、例えば支払方法やサービス内容の多段化、価格バリエーションがあります。

 

支払方法

支払方法は対企業が多い特許事務所の立場からすると、中小企業に対しては軽減措置を全面的にバックアップします、というサービスを含めてもいいかもしれません。

売掛金回収などの都合もありますから、一件の出願に分割払いは実務的に困難でしょう。

しかし、○○サポートというオプションの支払はどうでしょうか。

後述のサービス内容の多段化と被りますが、費用発生日と支払日を分散させることができます。

 

サービス内容の多段化

サービス内容を保ったまま値下げに応じるのではなく、値下げをするなら特定のサービスを削るという欧米風のアクションを取ることもできます。

そもそも顧客にとっては過剰なサービスであるにも関わらず、包括的に請求してしまうケースもあります。

例えば特許という箔をつけて営業に使いたいだけで、それ以上の戦略的な活用を望んでいない場合があり得ます。

弁理士が関わる部分を最小限にすることでサービス料を低減させるように案内すれば

 

また、マイクロエンティティ等は費用を抑えることができますが、手続が異常な程面倒であるため、中小企業やベンチャー企業は軽減措置を取らない場合があります。

こういった形式的なサポートは、事務所として型を作ってしまうと応用が効くと思います。

そこでコスト削減できた分の何割かを請求すれば、成功報酬のような支払方法となり痛みは感じにくくなります。

 

価格バリエーション

マーケティング分野で有名な「松竹梅」の価格設定があります。

言うまでもなく以下のような分類であり、様々な顧客に対応できます。

  • 「松」がより良いものや周囲よりも多く支払うことにより満足感を得られる顧客向け
  • 「竹」が中庸で満足する顧客向け
  • 「梅」が予算を抑えたい顧客向け

ここでは、松竹梅の商品の内容には極端な違いがありません。

このような価格設定であれば「竹」が一番多く売れることが分かっており、一番売りたい価格帯の商品であることが多いです。

上述したサービス内容の多段化にも関連しますが、「竹」の値下げをする必要はなく、「梅」の案内をすればいいことになります。

 

ちょっと書きすぎましたのでこの辺で。

 

弁理士

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