日銀ETF買い入れの意味

経済のニュースを少しでも見る方であれば、日銀が過去に年間6兆円ペースでETF買い入れを行っているということはご存知かと思います。

日銀は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や生命保険会社などと共に「クジラ」と言われ、株の大量買付け・保有を行っています。

投資に興味が薄い日本人にはあまり知られていませんが、GPIFは年金の一部を資産運用している組織で、世界最大級の規模を誇ります。

 

日銀のETF買い付けはヘリコプターマネーか

経済用語でヘリコプターマネーという言葉があります。

ヘリコプターからお金をばら撒けば(中央銀行が資金供給量を増やせば)インフレになる、と理解しています。

比喩ですから本当にヘリコプターからお金をばら撒くわけにはいきませんし、単純に資金供給量を増やすのであれば国の中央銀行が通常「買いオペ」で国債を引き受けたり、マイナス金利等により市中の資金供給量を増やすことができます。(異次元緩和政策でこれは進めています)

 

ただ、金融機関の国債を買い取っても企業の設備投資、個人の起業や住宅ローンなどを目的とした融資が活発でなければ、実質的には市中に資金が回っていきません。

なので国は市場への介入をしています。

 

仮に日銀がETFを買うと、投資をしている人の頭上にだけヘリコプターマネーが降ってきます。

また、インフレが進めば通貨である円の価値が下落しますので、投資をしていない人は恩恵を受けられません。

 

日本人の金融知識の無さ

では日銀が「ETFを買うよ」、「異次元緩和政策をするよ」と発表したすぐに株式投資などのリスク資産に振り分けた日本人は少ないでしょう。

多くの日本人はそれが何を意味するのか分からなかったのではないでしょうか。

結果論になりますが、日銀の発表以降に例えばTOPIXや日経平均などに連動するインデックスファンドまたはETFを買って放置していれば数年もしないうちに数十%の利益が出たわけです。

で、日本人は豊かになったかと言われるとそうでもない。

日銀や政府からすると大きな誤算でしょう。

まさか多くの日本国民が政策の意味を分かっていないとは思わなかった」のではないでしょうか。

 

 

東証一部の株式売買は、現状で7割くらいが海外投資家によるものです。(出典:JPX 投資部門別売買状況

日銀がETFを買い入れた資金は海外に流れているともいえます

日銀などのクジラが買い支えているという安心感もあり、日本は海外投資家にとって「極東の株式遊び場」です。

 

お金が無いから投資をしないのか?

今は100円単位で投資信託の売買ができるようになっていますが、数年前でもおそらく1000円~10000円単位だったと思います。

なので毎月1000円程度を捻出できないという人はあまりいないと思います。

日銀のETF買い入れは、日本人の動きが鈍いことが一因で止めるに止めれないように見えます。

 

海外投資家やクジラの比率を抑えるためには日本の個人投資家が動くことが考えられます。

個人投資家になり得る可能性の高いのは労働者です。

 

ここで、日本の労働人口は約6715万人です(出所:統計局 労働力調査)。

このうち、5000万人が毎月1万円を捻出して日本株の低コストなインデックスファンド等を買ったとすると、

5000万人 × 1万円 × 12ヶ月 = 6兆円(年間投資額)

となります。

これは日銀が年間で買い入れるペースと同じくらいです。

東証一部の時価総額が600兆円強(2018年時点)なので、約1%程度を動かすパワーになります。

 

ここまでくると日銀も買い入れペースを落とすことができ、止めるに止めれない状況から脱することができます。

 

そして何より、株価が上がること、配当が出ることは投資家にとってうれしいことです。

市場への参加は資本主義経済を回す上で大事であることから、個々の働き方が「より価値のあるもの」へのシフトに繋がる可能性があります。

過剰なサービスを行う薄利な業界の比率を少なくし、外貨獲得に乗り出すかもしれません。

 

日本人が日本企業の株を買うことは、経済への参加となるので、ひいては世界における日本のプレゼンス向上の一翼を担うことになるだろう、と考えています。